農業法務の分野として弁護士の業界で興味を持たれている分野の一つに、いわゆる農水知財があります。特許や商標という知的財産法の、農林水産法への応用という分野です。

 

 これは、農林水産業に携わる方々から見ると、重要だと実感される方が多いかも知れません。以前より、シャインマスカットなどの日本で作られた品種が海外に流出し、日本での商標がその国で登録され使われてしまう問題がありました。また、それを受けて種苗法が改正されることになりましたが、いろいろ議論を巻き起こしました。

 このように、農水知財の問題は、農林水産業の収益に大きく影響する身近な問題ではあります。

 

 一方で、弁護士としてみると、実は難解な分野です。

 以前にもこのHPで記事を投稿致しましたが、農業法は法律学的な研究があまり進んでいません。

 知的財産法の分野に着目しても、弁理士の先生方や、知財法を専門に取り組む弁護士は大都市に極端に集中する傾向があり、農林水産業の担い手が多い地方にはそのような弁理士・弁護士はあまりいません。

 以上のような現状ですので、農水知財となると、自信をもって取り扱える弁護士は極めて少ないところです。

 

 ただ、この分野は、将来的には農林水産業や国民・市民に多くの利益をもたらす可能性のある分野だと考えています。

 知的財産を活用して日本の農作物をブランド化して世界に発信したり、農家の方が独創的で素晴らしい栽培方法について特許を採れば、農業で多額の利益を上げられるようになる可能性があります。そうなれば、多くの人が農業に参入するようにもなり、活性化するでしょう。

 この分野の発展が、農業の発展に大きく貢献するとはいえると感じます。

 農業をメインに述べましたが、以上の点は、林業や水産業でも同様です。

 

私自身も、今はもちろん取扱業務の一つですが、さらに可能性を広められるよう、この分野をこれから精進していきたいと考えています。