今も昔もですが、不倫された夫/妻が、不倫した妻/夫やその不倫相手に慰謝料請求をしたいというのは相談も依頼も多いです。最近は慰謝料額が減額化の傾向がありますし、法律学界には不貞慰謝料請求を認めるべきでないという考え方も根強いですが、不倫された方の怒りはやはり半端ではないので、将来もなくなりはしないのかな、と思います。

 

たまに問題になったり気にされる方がいる問題なのが、どこまでやったら不倫や不貞になり、慰謝料請求出来るのか・されるのかという問題です。

当然と言えば当然ですが、結構難問で、ボーダーラインははっきりしないのです。

 

まあ性行為・肉体関係があれば一発アウトなのは明らかです。

それ以外にも性交類似行為や同棲など、夫婦の婚姻関係を破綻せしめる行為もアウトとされています。

具体的にどういうプレイが性交類似行為に当たるのか、というのは法律事務所のホームページに書きづらいですが、二人が裸になって行うエッチな感じの行為はだいたいダメな感じです。

 

ではキスならどうか、ハグならどうか、手をつないでデートするのはどうか、「愛している」というメールやLINE、メッセージアプリのやりとりだけならどうか、というとだんだん微妙になって来ます。

それ単体だと違法として慰謝料請求するのはなかなか難しい(キスだと認められる可能性が他よりも比較的高いです)とは思います。

 

話がややこしくなるのは、デートやメッセージのやり取りなど単体では違法でなくても、そういう行為を積み重ねることで、肉体関係があったと推認し慰謝料請求を認める裁判例がいくつかあるのです。これがあるのでボーダーがややこしいのですね。

そして、どういう行為があれば肉体関係があったと推認できるのかも一口に言えません。裁判官の感性なんかも絡んでくるので。

 

こういう感覚は司法試験受かったばかりの弁護士には分からないので、本当に法律とは難しいな、と思います。

 

参考文献:中里和伸「不貞慰謝料請求の実務」67~74ページ