GWも終わりました。最終日やGW明け初日、とても寒かったですが、皆さま体調を崩されたりなどしませんでしたでしょうか。

 

最近は本人訴訟を頑張っていらっしゃる方からの相談もネット・リアルを問わず多くなりました。ネット社会なので昔よりは簡単になりましたが、それでもやはり大変ですね。

 

そんな中でカン違いされやすい法律用語が、「請求の趣旨」「請求の原因」です。民事訴訟法134条2項2号(令和5年4月1日までは133条2項2号でした)で、訴状に必ず書かなければならないとされているものです。

この言葉、結構間違えやすいのです。「請求の趣旨」のところに訴訟の内容の概要を書いたり、「請求の原因」について、訴訟を提起した理由を書いたりする方がいるのです。

 

例えば、友だちに100万円返せという訴訟を提起したいときに、「請求の趣旨」に「貸したお金を返してほしいのです」と書いたり、「請求の原因」に、「必ず返すって友達は言ったのに、のらりくらりと言い訳ををするので、訴えを提起しました」などと書いてしまう方がたまにいるのです。

まあ間違えやすい言葉ですよね。でもまちがいなんで、こんな書き方をすると訴状が受理してもらえません(というか裁判所の指示通り直さないと多分却下されてしまいます)。

 

正解は、ざっくりいうと、「請求の趣旨」とは求める判決の内容を、「請求の原因」とは「請求の趣旨」を基礎づける法的な請求権を基礎づける要件事実を書きます。何が要件事実にあたるかは、法的な請求権(≒訴訟物)ごとにだいたい法律で決まっていると考えていいです。

 

例えば友達に100万円貸したけど返してくれないときに訴訟を提起するとき、「請求の趣旨」は例えば以下のようになります。

 

「第1 請求の趣旨

 1 被告は原告に対し、金100万円を支払え 

 2 訴訟費用は被告の負担とする 

 との判決並びに仮執行宣言を求める」

 

で、「請求の原因」については、貸した金を返せというのは法律上、金銭消費貸借契約に基づく貸金返還請求権に基礎づけられるので、その要件事実とされている①金銭の授受、②返還の合意、③履行期の合意と④履行期の到来を書くわけですね。履行期の合意がない場合は③催告と④相当期間経過になるでしょうか。

①②はまとめて書くことも多いので、友だちに貸した金100万円の返還請求するときは例えば以下のようになります。

 

「第2 請求の原因

 1 原告は、令和5年1月13日、被告との間で、金100万円を貸し付けた。

 2 原告は、令和5年2月13日、被告に対し、100万円を返還するよう催告した。

 3 令和5年2月27日は到来した。」

 

貸金訴訟だと、ネットで裁判所が提携書式を配布しているのでまだ分かりやすいですが、物を返せという訴訟とか、嫌がらせをやめろという訴訟とか提起しようと思うと、請求の趣旨や請求の原因の記載が途端に難しくなります。

 

こんな感じで、法律用語には日常用語とはかけ離れた意味を持つ用語がたくさんあります。また機会があればご紹介したいと思います。