年が明けたなあと思ったらもう4月で、鶴岡もすっかり春になりました。桜も咲き始めています。この時期は本当に好きです。雪かきの心配をしなくていいですからね。

 

さて、最近、法律相談を受けていく中でいくつか不安なケースが出てきました。悪徳商法の加害者が被害者を民事訴訟で訴える、というケースに複数触れるようになったのです。

 

 今までは、悪徳商法の加害者が被害者を訴えるケースは、それほど多くないように見えました。霊感商法などの特殊な商法に限られ、訴訟が必要なケースは弁護団で対処、という方法でなんとかしていましたし、架空請求などの詐欺や悪徳商法の多くは、訴訟まで行かないことが多かったのです。額も少額ですし、悪徳商法やっている人間も訴訟のコストや逮捕されるリスクを冒してまで訴訟提起してくることはない、ということが多かったんです。訴訟にコストがかかることは良し悪しですが、この点に関していえば訴訟のコストが消費者を守る壁の役割を担ってきたように思います。

 

 しかし、最近は副業詐欺などの悪徳商法で、10万円~80万円くらいの額について、簡裁や地裁に訴訟提起をする業者が見られるようになってきたのです。弁護士を立てているケースもあります。

 やっかいなのは、被告側もまともな対応をしないとお金を払えとの判決が出てしまいますが、被告側も弁護士を立てようとすると費用倒れとなってしまうことがあるのです。民事訴訟の被告側は、着手金22万円~44万円程度の弁護士が多いかと思いますが、100%はありえない民事訴訟で10万円~80万円かけて弁護士を立てるかどうかは微妙なところです。

 法テラスを利用できることもありますが、法テラスは弁護士費用が安くて、法テラスで契約する場合、弁護士は追加で報酬を頂くことが禁じられています。そのため法テラスでは民事の被告側の依頼を断る弁護士も多いです。

 

 そのラインを悪徳商法側が狙ってきているのでは、と思うのです。

 これからそういう動きが広がらなければいいのですが。

 

 訴訟を提起されたら裁判所から書留のような形で訴状や期日呼出状などの書類が届きます。それは無視せず、必ずお近くの弁護士にご相談ください。どんな悪徳商法でも架空請求でも、裁判所からの呼び出しをずっと無視し続けると判決を取られてしまい、強制執行されてしまいます。そうなってからでは手遅れなことも多いです。

 弁護士に依頼まで行かなくても、相談しつつ対応しているだけでもなんとかなることもあるので。

 

 春なのにいきなり暗い話題で恐縮ですが、春の日差しに伴い消えていく残雪のように、悪徳商法も消えて行ってくれないかな、と願うばかりです。