損害賠償請求権や売買代金請求権などの債務を支払わない人に対しては、訴訟を経て判決をとり、強制執行をするということがよくあります。ただ、今の法律上、強制執行をするには債権者が、債務者の財産(預貯金や不動産など)を特定しないと出来なくて、債務者の財産について全く情報がないと強制執行出来ないのです。

この点を補うために、財産開示制度というのがありました。この制度は一旦強制執行が失敗しているなど一定の要件の元で、裁判所が債務者に対して財産目録の開示や裁判所での説明を命じる制度です。ただ、今までは無視しても罰則は過料のみで、実効性に乏しいものでありました。無視しても逮捕されることもなく、ペナルティが課されることは事実上ありませんし、判決も無視するよな人が財産開示だけ応じるということも稀だったからです。

 

これが最近の民事執行法の改正により、財産開示を無視した場合の罰則が6か月以下の懲役又は50万年以下の罰金が定められ、逮捕されることもありうるようになりました。これにより、判決は無視できても財産開示は無視すると刑事罰や逮捕があり得るようになり、実効性が格段に上がりました。警察・検察も今のところ新法に基づき、書類送検や略式手続などをきちんとやっているようで、その結果実際に刑事罰が科されるケースもあるようです。

 

私としても、これはありがたいです。ごね得を許さない制度に一歩近づいたと言えるからです。

強制執行はされると怖いものなので一般の方も学者も政府も、強化に及び腰になってしまっています。でもちゃんと執行制度がしていないと、訴訟をやってもムダとなり、自力執行が横行してしまうのです。かつての闇金の取立のように。

 

今後も、使いやすい司法制度になるよう、民事執行制度の強化を願うばかりです。