最近、法律相談サイトで回答をさせて頂くことが多いのですが、最近目に付く相談が、「妻又は夫にDV等支援措置を取られて妻又は夫の住所が分からなくなった!どうしよう!」とか、「自分はDVをしていないのにDV等支援措置を取られた。措置を取った市役所や妻又は夫を訴えられないか」というものです。

DV等支援措置は簡単にいうと、DV等の加害者とされる人が被害者とされる人の住民票等を取れなくする制度です。通常だと同一世帯だと住民票を取ることが出来たり、裁判の準備等一定の事由の場合は夫又は妻の住民票が取れるのですが、この措置を取られるとそれさえも出来なくなります。

正確には総務省のHPが詳しいので、リンクを添付します。

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/daityo/dv_shien.html

では、DV等支援措置を取られると訴訟や離婚調停などの手続が出来なくなるのではないか、それはおかしいのではないかとお考えの方もいらっしゃるのですが、これを記載している2021年9月14日現在では、それは可能です。平成30年11月30日事務総局通知で、提訴や調停申立と合わせて調査嘱託申立等の手順を踏めば、裁判所には住所が知らされるので訴状の送達や調停申立書・期日呼出状の送付が可能となっている運用だからです(ただし、その住所は申立人・原告には知らされません)。

だから法的手続きを取る分にはDV等支援措置を取られても支障はないのですが、怒りが止まない方もいるようです。

単なる妻又は夫への憎悪によるものもありますが、手続上、ほとんど被害者の申告のみで市区町村役場側が事実を認定しているにも関わらず、自分が「加害者」とされることによる怒りも見受けられます。

総務省平成25年10月18日通知(https://www.soumu.go.jp/main_content/000687389.pdf)にもありますが、このDV等支援措置は迅速が要請される性質上、DV等の事実認定や証拠の取り調べをそれほど行えません。そのため、自分がDVを行っていると市区町村役場が断定しているわけではありません。

そのあたりの誤解が晴れることを願うばかりですが、DV案件のスピードの要請、当事者の感情の対立の激しさ、ウソをつく当事者の存在、これらを踏まえると、それほど簡単に解決するわけではなさそうです。