親族問題や遺産分割などでたびたびもめるのが、葬儀費用は誰が負担するのか、という点です。

私が生活している鶴岡市では、だいたい100万円~200万円かかるように見受けられます。一方で、死亡後のバタバタで、誰が負担するのかじっくり話し合う暇もないものです。そのため、後になってもめる、ということが多いです。

この点について条文に定めはありません。学説や裁判例もバラバラです。だいたい①相続人全員で負担するという考え方(福岡高裁昭和40年5月3日判決など)、②相続財産が負担するという説(盛岡家裁昭和42年4月12日審判など)、③喪主の負担とする説(甲府地裁昭和31年5月29日判決など)、④慣習ないし条理によるという説(甲府地裁昭和31年5月29日判決)、⑤相当な費用は相続人の共同負担であるがそれ以上の支出は喪主負担とする説(野田愛子「遺産分割の実証的研究」135頁など)があります。

私の経験でいくと、①か②でだいたいうまくいくケースが多いです。ただそれだと会社経営者の葬儀などで喪主が葬儀費用を過大にしたときに他の相続人の負担が大きくなってしまいます。そのため③が都会で人気のようです。ただ私のいる鶴岡で③にしちゃうと、喪主の負担が過大で可哀そうに思います。⑤が穏当な気もしますが、「相当な費用」とはいくらか、というのを決めるのが大変です。

また、葬儀は宗教的儀式の側面も強いので、条文でスパッと決めにくいところでもあります。

悩ましいところです。