同居家族・親族に出ていって欲しい、という相談に業務上接することがたまにあります。

一旦家を出た息子・娘がまた戻ってきたが、毎日のように怒鳴り散らすのできつい。

住宅ローンで買った家に、親が転がり込んできたが、気まぐれに罵倒される。

自分の住んでる賃貸アパートに兄弟姉妹が転がり込んできたが、生活費の負担もないのに自分を奴隷のようにこき使う、など。

警察などが動いてくれるケースならいいですが、そうでないことも多い。

そういう時に、家の持ち主やアパートの賃借人は、民事訴訟で同居人に対し明渡請求が出来るとなっていますので、その手段をまず検討することになります。

ただ、親族を相手にする場合、現行法上、この手段には、二つのハードルがあります。①裁判所が勝たせてくれないかも知れない、というハードルと②執行官が強制執行をしてくれないというハードルです。

①ですが、相手が親族の時は、黙示の使用貸借契約を認定してみたり、原告の請求は権利濫用だとして、原告を敗訴させてしまうことがあります。どのようなときにダメなのか、必ずしも明確ではありません。

②については、親族を立ち退かせたあと、その親族の生活の目途が立っていない場合、執行官が執行不能として強制執行を事実上断念することがあります。いわゆる過酷執行の問題です。その基準は一応あると見聞きしますが、外部に公開されていません。暴力団の占有屋に悪用されるためでしょう。

こういうハードルはある程度仕方がない面もありますが、一方で親族に振り回される方の権利救済を拒んでいることになるので、弁護士としてはもどかしい思いです。