これはカン違いしやすい法律用語24とも絡むんですが、今回は「準備書面」を取り上げます。定義としては、民事訴訟において、当事者が口頭弁論で陳述しようとする事項を記載した書面とされています。

ただ法廷ではそれを読み上げることはなく、裁判官が「原告、提出された第1準備書面を陳述しますか?」原告代理人「はい」で終わりのことが多いです。民事訴訟は勝てるかどうかは準備書面の応酬か、証拠があるかで決まるので、民事訴訟を傍聴しても何も分からないことがおおいです。書面で何が陳述されたか分からないが、そこがとても重要だからです。

 民事訴訟法の講義では口頭主義、つまり弁論や証拠調べは口頭で行われなければならないという基本原則があると習いますが、実務上は準備書面や書証の応酬がメインで、書面主義に堕していると批判されることもあります。私は真実を見つけやすいのは口頭によるディベートよりは書面の応酬だと考えているので現状に不満はありませんが、批判されることもあります。まあでも自然科学のディベートだって口頭で結果が出ることはまずなく、論文の応酬で決まることが多いようですし、書面主義も悪くはないように思います。