今回取り上げるのは「裁判」という用語。日常用語だと手続全体を指す用語のように使われていますが、法律学ではそうではなく、そのなかでも裁判所や裁判官が下す「判決・決定・命令」だけを「裁判」と呼びます。特に民事訴訟法の分野だと言葉の定義が厳格なので、民事訴訟法の教科書や文献を読むとたまに混乱することがあります。

 ただ、私は弁護士になって15年くらいになりますが、最近は法律の専門書や教科書でも分かりやすさを重視してこの意味で「裁判」という言葉を使うのをあんまり目にしなくなったような気がします。論文とかだとこの意味で使っていたりするので気を付けないといけませんが。専門書も分かりやすくなった、という点では、いい時代になったな、とは思います。