地方で弁護士をしていると、多い仕事の一つが債務整理、特に破産です。個人の破産であれば借金について免責が得られ、かなり精神的に楽になります。

また法人の破産でも、法人の整理や並行して行う代表者の破産を通じて債務を免責させ、再出発のお手伝いができるのでやりがいはあります。

 

ただ、破産手続きには矛盾を感じる場面があるのです。お金がないと破産が出来ないという事案があるからです。お金がないから破産するのに、お金がないから破産が出来ないという場面があります。

個人だと、浪費などの免責不許可事由がある場合や、財産が多少ある場合に予納金が20万円~30万円程度必要なことがあります。弁護士費用の他にです。弁護士費用は法テラスで月5000円ずつの分割になるし、破産を弁護士に依頼し弁護士が受任通知を発送すると催促が止み、債務の支払いをストップした状態で破産の準備をしますので、弁護士費用だけなら多くのお客様が無理なく支払って頂けます。

法人だと、予納金が最低50万円程度、代表者個人の自己破産も並行して行う場合プラス最低30万円程度必要になります。これも弁護士費用のほかにです。しかも代表者個人の破産には法テラスが使えることがありますが、法人の破産自体には現在は使えません。

この法人破産の場合、矛盾が生じます。事業資金を全て使い切ってしまった状態だと、予納金が準備できないため破産すら出来ないという状況が生じうるのです。破産法上は国庫仮支弁(破産法23条)という制度もありますが、要件が限定的で、自己破産の場合はまず認められないと考えて差し支えないように思います。

 

最近は「国が認めた借金の救済制度」がネットの広告をにぎわせていますが、債務整理はくれぐれも当事務所や、地元の弁護士にご依頼頂きたいと切に願う次第です。