離婚関係でカン違いしやすい法律用語と言えば、「婚姻費用」でしょうか。

大学の授業でも司法試験でもほとんど取り扱わない用語なので、恥ずかしながら私も弁護士になりたてのころはカン違いしていました。

 

法律用語で「婚姻」というのは結婚のことなので、結婚式に係る費用と最初私はカン違いしていたんですよね。どうやら同じ間違いを新人の頃していた弁護士が結構いると聞いて、胸をなでおろしたのですが。

家庭裁判所で「婚姻費用分担調停事件」が結構行われていると聞いて、結婚式の費用で揉める人結構いるんだな、とカン違いした修習生や弁護士がいたという噂も耳にした気がします。

 

「婚姻費用」というのはざっくり言えば、夫婦生活や子育てにかかる生活費のことです。民法760条でこれらは夫婦で分担すべきだとなっているのですが、夫婦円満の時にはどうとでもなるわけで。

裁判所で問題になるのは99%、夫婦仲が悪くなって別居した時に、収入の少ない方が多い方に生活費を請求する場合に問題になります。

 

いくら請求できるのかというのも、簡易算定表というもので多くの場合簡単に算定が出来ます。それぞれの年収と子どもの人数・年齢で算定が出来るわけです。

簡単に算定される割にかなり強力な債権で、強制執行の時に普通の金銭債権より差押えられる範囲が広かったりします。

別居を始めるときはどうしても経済的に苦しくなりがちなので、婚姻費用分担請求は念頭に置いておいた方がいいものです。

 

個人的にはカン違いしやすいネーミングなので、「生活費請求権」とかにでもしてくれないかな、と思っていますが、同じ意見の人、見たことありません。私は新人と呼ばれる年代をとうに過ぎたのでいいのですが、多分これからも勘違いする新人弁護士、いるんだろうなあ・・・