弁護士ドットコムやココナラなどの法律相談サイトで回答させて頂くことが多いのですが、最近は本人訴訟をやっている方が、「こういう時どうしたらいいの?」という相談をなさることが多くなってきました。ネットである程度情報は集まりますし、私が申し上げるのもなんですが弁護士費用は高いので、お気持ちは分かります。日本の民事訴訟は素人の方が出来るようになっていないので、全くお勧めは出来ませんが・・・

 

 意外に難しい訴訟類型が、「物を返せ」という訴訟です。いわゆる動産引渡請求です。友達に貸した本を返せとか、アクセサリーを売ったけど代金払わないならアクセサリーを返せという訴訟などですね。

簡単なようでいて、これが意外に難しい。

何が難しいかというと、一つには返せという対象物がなにかの特定が難しいのです。例えば本だと「本」だけではダメで、タイトルと著者はおそらく必要でしょう。裁判官や訴訟類型によっては、それだけではダメで、一般に流通されている本と区別できる特徴を記載せよ、と指示されるかも知れません。他の物ももおおよそ同様です。不動産だと登記で特定が容易なのと対照的です。

 そのため、訴訟では製造番号や車体番号などによって特定が容易な機械や自動車などを除くと、動産引渡請求はそんなになされません。経済的価値のわりに訴訟がかなり難しいからです。

 

 他にも、動産引渡訴訟は執行が結構難しいという問題もあります。長くなるので書くのはまたの機会にさせて下さい。

 

 民事訴訟は、不動産や機械、自動車といった高価なものを返せという訴訟は割と訴状を書くのが簡単な一方、本とかアクセサリーとかを返せというのは至難の業なのです。

 この問題が典型ですが、民事訴訟は基本的に、お金持ちや企業が弁護士を委任してやるのに合わせてシステムが出来ていて、素人の方が本人訴訟で出来るようになっていません。あちこち躓くポイントがあります。

 弁護士費用が高いのは重々承知ですが、今のところ民事訴訟をやるには、弁護士に委任するのとしないとのとではやりやすさや勝ちやすさが雲泥の差です。なるべく弁護士に委任されることをお勧めします。