たまに山形県弁護士会の仕事で、鶴岡の高校生に消費者問題についての講義を担当させて頂くことがあります。10年くらい前は消費者問題一般を満遍なく話していればよかったのですが、ここ数年はあるとても危険な現象について重点的に話さないといけない現状です。

 

危険な現象とは何か。それは「裏バイト」です。

 

今の若い人たちは大体お金がないので、楽に儲かるバイトはないかなあ、と探します。そうするとそういうバイトがネットでヒットしたりするのですね。指定された場所で物を受け取ってだ指定された人に渡すだけで1万円とか、郵送されたキャッシュカードからお金引き出して指定先に送るだけで1万円とか、そういう感じのもの。

 

実はそれは振り込め詐欺などの犯罪行為の一部だったりして、警察が来てから初めて気がつくことが多いです。

こういう、事情を知らない一般人をバイトと騙して犯罪行為の一部を担当させることを、裏バイトとかブラックバイトと呼ばれています。

 

これの何がヤバいかというと、何も知らずにそういう行為に加担しても、下手したら一発で実刑になってしまう、ということです。

特に振り込め詐欺などの特殊詐欺についてこれらの行為をしてしまうと、多額の被害弁償や示談をしない限り、ほぼ確実に実刑(未成年者の場合は少年院送致)、という裁判実務に、今現状なっています。事情を知らなかったんだから故意がなくて無罪と理論的にはいえそうなんですが、多くの優秀な弁護士がそう主張してもそう認めてもらえませんでした。

 

最近はこの実態も広まってきたので特殊詐欺に加担するケースは少なくなってきたのかと思いきや、今度はバイトに通帳やキャッシュカードを買わせたり、強盗をさせたりという実例が増えて来ました。まさしくイタチごっこという感じです。

強盗はともかく、他の犯罪類型は今の所一発実刑という運用にはまだなっていませんが、いつそれが変わることやら。刑事弁護も行なっている私としては戦々恐々です。

 

上述の消費者講座でも、とりあえず闇バイトがヤバい!やめとけ!危なそうなのには近づくな!とまず強調しなければなりません。

若者の一生を不幸にする闇バイトが一刻も早くなくなることを祈るばかりです。